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キュウリ

きゅうりはトマト、いちご、ネギに続き国内の野菜産出額では第4位に位置する人気野菜です。※平成30年農林水産省生産農業所得統計

生態

被子植物 ウリ目 ウリ科 ウリ属
1年草で3センチくらいの黄色い5弁の花をつけます。
雌雄異花で、1つの株に雄花と雌花が咲く雌雄同株です。
花が咲いて1週間で収穫できます。

歴史

少なくても3000年以上前から栽培されています。

原産地はインドヒマラヤ山麓。
そこから西に伝わり、古代ヘブライ人がエジプトで食べた食物として聖書に記載されています。
ヨーロッパには古代ギリシャ人、もしくは古代ローマ人がもらしたと言われています。

東には中国に紀元前100年ごろ中国西域の民族によってもたらされたとあります。
中国西方の異民族は胡人と呼ばれていた事から「胡瓜」と名付けられました。
そこから中国では完熟したキュウリは黄色くなるところから「胡瓜」の名称は「黄瓜」(キウリ)に変わりました。

日本では,漢字表記としては「胡瓜」のままで、読み方は「キュウリ」になっています。

日本に伝わったのは平安時代といわれていますが、昔は大きく黄色くなった完熟したものを食べていたのもあって、苦くて人気はありませんでした。
昭和に入って品種改良されて生で食べるようになり、日常的に食べられるようになりました。

流通

(旬) 初夏から秋
(国内の主な産地) 1宮崎 2群馬 3埼玉 ※平成29年度農林水産省調べ
冬春キュウリは宮崎、群馬、埼玉。夏秋キュウリは福島、群馬、岩手の出荷量が多いです。

(世界の生産量) 1中国 2トルコ 3ロシア
そのうち中国は全世界のキュウリのおよそ3分の2を担っています。日本は11位です。※グローバルノート

(品種) キュウリの表面につく白い粉は「ブルーム」と言い、野菜の成分ですが、農薬と誤解され敬遠される事があったので1983年、ブルームレスキュウリが育成され全国に普及しました。
近年ではいぼなしキュウリも人気が出ています。
一方、四葉キュウリなど昔ながらのキュウリも一部で人気があります。

(保管) 10~15℃が適温。乾燥に弱いのでポリ袋に入れます。
(販売) バラで販売する場合はこまめに霧吹きで水分をあたえます。新鮮に見せるという効果もあります。
曲っているキュウリでもあまり問題なく売れますが、梱包にスキマができるので物流コストが上がります。
漬物としてのキュウリの需要は年々下降しています。
逆にサラダとしての需要は伸びています。

栄養

約95%以上水分です。カリウム、カルシウム、ビタミンCが豊富で皮にはβカロチンも含まれています。
カリウムは利尿作用、むくみ改善、ナトリウム排泄、血圧上昇を防ぐ効果が期待されます。
また、カラダを冷やし熱をとり去る作用。夏のほてりやのどの渇きを鎮め、夏バテの予防が期待されます。

きゅうりにはリグナンやフラボノイドという抗酸化物質が含まれており、臓血管系疾患や抗がん作用があるという報告もあります。

東洋医学でもキュウリは利尿効果があるとされ、体の熱をとり、暑気あたりを改善するなど珍重されてきたそうです。

ただ、生のキュウリはビタミンCを破壊する「アスコルビナーゼ」という酵素が含まれています。
その働きを抑えるには酢が有効です。(酢の物やピクルス)

また、ぬか漬けにするとぬかの栄養成分がきゅうりに染み込み、カリウムは3倍、ビタミンB1は10倍近くに増えるといわれています。

参考文献

小学館の図鑑NEO野菜と果物(小学館)
もっとからだにおいしい野菜の便利帳(高橋書店)
野菜まるごと大図鑑(主婦の友社)
野菜の秘密(ジルデイヴィーズ著 西村書店)
花からわかる野菜の図鑑(亀田龍吉著 文一総合出版)
野菜と果物すごい品種図鑑(竹下大学)
野菜薬膳植物図鑑(橋口亮 橋口玲子)
キュウリの伝来と普及(吉田宗弘)
トマトと胡瓜について (世界編)(横浜丸中ホールディングス株式会社)