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トマト

国内の野菜産出額ではイチゴを超えてトップを誇ります。どこのお店でも力を入れて販売される野菜です。
※農林水産省「生産農業所得統計」H30(農林水産省ではイチゴも野菜に区分されます。)

生態

(分類)ナス科ナス属トマト種  (染色体数)2n=24

直径3㎝くらいまでをミニトマト、8㎝くらいを大玉トマト、その中間サイズを中玉トマトと呼ばれて販売されています。
温帯地域では冬に枯れる1年草ですが、熱帯地域では多年草になります。
食べる部分は熟した果実になります。
植物学的には「植物の果実」なのでフルーツになりますが、日本の農林水産省では「木本性の植物が果実」「草本性の植物を野菜」と定義づけられているので野菜に分類されます。
海外ではトマトは野菜か果物かという論争で裁判になった事もあります。

歴史 

原産地はアメリカ大陸、紀元前500年アンデス山脈周辺で栽培されていました。
16世紀にヨーロッパに紹介されたが、有毒植物と敬遠されていたので食べられるようになったのは18世紀になってからになります。
日本には17世紀ごろ持ち込まれましたが、同じ理由で食べられるようになったのは19世紀になってからになります。

流通

(旬)
露地は7~8月、ハウスものは1年中で回ります。

(国内の主な産地)
1熊本
2北海道
3茨城
※H.29年度農林水産省調べ

(世界の生産量)
1位が中国の6500万トンで圧倒的に多いです。次いでインド(2000万トン)
、トルコ(1300万トン)、米国(1200万トン)になります。
日本は30位(72万トン)です。
※出典グローバルノート

(保管温度)10℃前後が適温。低温で保管すると味が落ちてしまします。

(販売)
味の違いが分かりやすく、高くても売れる可能性がある野菜です。(高く売れる野菜は珍しいです。)
安いトマトとブランド化して高く販売されているトマトに分けて売られている場合が多いです。

また、赤い色は購買要求を高める色なので売場では重宝されます。

市場流通ではまだ青い部分が残っている状態で出荷される事も多いですが、しっかり完熟してから収穫したトマトの方が栄養価も高く美味しいです。
ただ、完熟したトマト物流に耐えられなかったり、棚もちが悪く廃棄になりやすいというデメリットもあります。

栄養

トマトの赤い色素は「リコピン」(ポリフェノールの一種)で油とともに食べると吸収率が上がります。
リコピンは糖尿病抑制、結腸癌、前立腺がんのリスク軽減、コレステロールの抑制、心臓病や神経変性疾患の抑制、
日焼けやシミから肌を守る、睡眠障害、慢性炎症、高血圧、便秘、憂鬱、骨粗鬆症の緩和、エネルギー増進、喘息の抑制など、様々な効果があると言われています。

また、リコピンはやはりサプリメントで摂取するよりもトマトから摂取する方が効果が高いという論文もありますのでしっかりトマトを食べる方が良いと考えられます。
※心血管リスク因子に対するトマト摂取量とリコピンサプリメントの臨床的証拠の比較 

その他に、クエン酸、ビタミンC、βカロテン、カリウム、ビタミンEも多く含まれています。

夏の食欲不振や夏バテの時にも食べやすい食材です。

肝臓内の脂肪の燃焼に関わるスイッチをオンにする成分があるという報告もあります。

食べ方

サラダで食べるのも美味しいですが、加熱料理でもうまみ成分(グルタミン酸)が引き出され美味しいです。
ゼリー状の部分にうまみ成分が最も含まれています。

その他

トマトが赤くなるのは鳥などに食べてもらうためのサインです。
食べられた種子は消化されることなく排出されて遠くに散布されます。
人にとってカラダに良い成分があるのは偶然だと考えられます。

参考文献

小学館の図鑑NEO野菜と果物(小学館)
もっとからだにおいしい野菜の便利帳(高橋書店)
野菜まるごと大図鑑(主婦の友社)
野菜の秘密(ジルデイヴィーズ著 西村書店)
花からわかる野菜の図鑑(亀田龍吉著 文一総合出版)
世界史を大きく動かした植物(稲垣栄洋著 PHP)
野菜の秘密(西村書店)
世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事(津川友介)