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タマネギ

「タキイ種苗」が発表した調査で「2021年に食べる機会が多かった野菜」では1位になるほど日本人にとっては馴染み深い野菜です。

生態

(分類)
単子葉類 キジカクシ目 ヒガンバナ科(ユリ科) ネギ属

中間地、暖地においては冬を越す越年生作物。冷涼地の北海道などでは1年生作物になります。

(染色体数)

2n=16。染色体のサイズが大きいです。中学の実験観察に使われます。

染色液を使って250倍で観察しました。

食べる所は根でなく「鱗茎(りんけい)」という葉の部分です。
芯が茎でその下に生えているヒゲのようなものが根になります。

苗が大きくなり過ぎてから冬の寒さにあうと花芽が形成されてトウ立ちしやすくなります。
トウ立ちすると鱗茎が大きくならなく、味も落ちます。

しかし、トウ立ちしないと花を咲かせて子孫をつくる事はできません。花は小さな花が集まって球のようなカタチになります。

歴史 

原産地は北西インドから天山山脈西部(カザフスタン、キルギス、中国西部あたり)という説があります。
ペルシャ、エジプト、ローマなどで古くから栽培されていました。


「オニオン」の由来はラテン語の「ユニオ」(真珠)からきているそうです。

日本に入ってきたのは江戸時代。当初は観賞用でした。食用としての栽培は明治時代にコレラに効くというデマから広がったそうです。

流通

(旬)
中間地、暖地では4~7月 北海道産は8~10月に収穫して翌年の4月頃まで流通されます。

(産地)
圧倒的に北海道の生産量が多いです(全国の約60%)。また、温暖な気候で早出しができる佐賀、長崎、愛知も多く、ブランド化に成功している淡路(兵庫)も強いです。
輸入タマネギは約20%あり、うち中国産が80%(H.21年)ほどです。

ブランド化に成功している淡路島タマネギ

(産地リレー)
9月~翌年3月までほぼ北海道産が占めます。
4月頃から佐賀などの暖かい産地の新タマネギが出始めて北海道産は貯蔵の限界がきて(芽がではじめます)終わります。

(世界の主な生産地)
中国、インド、アメリカ

販売

(保管温度)
0~5度

早生の新タマネギは水分が多くて痛みやすいので特に保管に注意します。

中間地のタマネギは熱くなる時期の収穫なので、乾燥、保管設備が不十分な産地のものは劣化が早いです。
北海道産のタマネギは寒くなる時期からの流通なのもあって棚もちがいいです。
関西では特に淡路産のタマネギは人気が高いです。

栄養

古代エジプトでは薬として食べられており、アメリカの南北戦争時代兵士がかかる病気を治すために常備していたという逸話もあるくらい殺菌作用を持っている野菜です。

独特のにおいと辛さの原因は硫化アリルという成分です。
これが殺菌作用を持っていて、ビタミンB1の吸収を助ける働きもあります。

タマネギを切ると細胞が壊れてアリシンという血液をサラサラにする働きがある物質に変わります。
ただし、加熱したら壊れ、水にさらしても溶けだして半減します。

うまみ成分のグルタミン酸も多いです。
髪と爪の成長を促進するビオチンが豊富です。
カリウム、亜鉛も豊富に含まれています。
ケルセチンという抗酸化物質も豊富で特に皮に含まれています。
「ケルたま」というケルセチンを特に多く含まれる品種も開発されています。

食べ方

新玉ねぎは生食にオススメです。
普通の黄タマネギの場合は生食、焼く、ゆでる、蒸す、揚げるなど、多様な調理方法があります。

新タマネギのサラダ(かつお節とポン酢)

参考文献

小学館の図鑑NEO野菜と果物(小学館)
もっとからだにおいしい野菜の便利帳(高橋書店)
野菜まるごと大図鑑(主婦の友社)
野菜の秘密(西村書店)
花からわかる野菜の図鑑(文一総合出版)
世界史を大きく動かした植物(PHP)


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