オーディオブックで聴きました。
この本の良かった所は「○○はカラダに良い」「○○はカラダに悪い」と言った、自分が主張したい仮説を都合の良いデータや論文をひっぱってきて主張するよくある健康本ではなく、中立的な視点で多くの論文から信頼できるものを選び、今現在の科学で認められている最も健康に良いと考えられる食事を紹介してくれている所にあると思います。
また、科学のとらえ方も勉強になりました。
一言に「エビデンスがある」と言っても強いエビデンス、弱いエビデンスがあるとの事です。医学研究は「ランダム化比較試験」「観察研究」に分けられ、前者の方がエビデンスが強いと書かれています。
そして、最強のエビデンスは「メタアナリシス」といって複数の研究を統合した手法であり、 複数のランダム化比較試験を統合したメタアナリシスが最強のエビデンスと言えるとの事です。
これから論文を目にするときはこの点をしっかり注意しようと思います。
また、この本では
1、すべての疑問に答えるエビデンスがある訳でなくまだ分かっていない事が多い。
2、体に悪い食品を指摘しているのであって食べるべきでないと言っている訳ではない。メリットデメリットを理解した上で食べるべき。
3、運動量で食事内容がかわる。
と読者が偏った思考にならないように注意をうながしているのもいいと思いました。
そして、この本の大まか内容は
健康に良いものは 1魚、2野菜と果物(フルーツジュースは除く、ジャガイモは含まない)、3茶色い炭水化物、4オリーブオイル、5ナッツ類
健康に悪いものは 1赤い肉(牛肉や豚肉。鶏肉は含まない、ハムやソーセージなどの加工肉は特にカラダに悪い) 2白い炭水化物 3バターなどの飽和脂肪酸
と分析されてて様々なエビデンスから解説してくれています。さらに、論文の掲載元もずらっと紹介されています。
個人的にお米や野菜を販売する者として、白米による糖尿病のリスクのデータ(玄米に変えると良い)、野菜を5単位(385~400g)までなら食べるほど死亡率が下がるデータはお客様に還元したいデータだと思いました。
また、オーガニック食材に対する考え方にも参考になりました。
科学的には唯一オーガニック食材に変えメリットがあるのは妊娠中や妊娠をする可能性のある女性や小さな子供であり、非常に低いエビデンスであるが生まれてくる子供ののIQが低くなったりADHDになるリスクが高くなる可能性がある論文があると書かれています。
以下の論文
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(17)30391-4/fulltext
グーグル翻訳での訳によると(どれだけ正確に訳されているか分かりませんが)「アレルギー症状の有病率は特定することはできませんでした。」「妊娠中および授乳中の女性にとって有益です。」
といった内容だと思います。
筆者も「過剰に反応しないで欲しい。すべてをオーガニックにする必要はない。」と書かれている通り私も危険の可能性は頭に入れておいた方がいいと思いますが、過剰に反応するべきでないと思います。
気になる人はできる限りオーガニックというカタチの方が心身ともに健康になれると思います。