生態
ナス科ナス属
温帯地域では冬の寒さで枯れますが、熱帯地域では多年草になります。
紫色の花で、若い果実を収穫して食べます。
歴史
原産地はインド東部。5世紀までにはペルシャや中国にも伝わるり、中世に地中海全域にも広がりました。
日本には奈良時代に入ってきて煮物や漬物に人気があったそうです。
流通
旬は7月~11月。ハウスものは1年中出回ります。
(国内の主な産地)1高知 2熊本 3群馬 ※H29農林水産省調べ
冬春ナスは高知、熊本、福岡など暖かい産地のものが多く、旬である夏秋ナスは群馬、茨城、栃木の出荷が多いです。
(世界の生産量)1中国、2インド、3エジプト(日本は7位)上位3か国で世界の90%の生産量になります。※食品データ館
販売
ナスの保管適温は10~15度です。比較的棚もちの良い野菜なので管理がしやすいですが、低温に弱いのが注意点です。
冷蔵庫の通気口付近に置いていると痛む事があります。
また、新鮮なナスはトゲが鋭く、指に刺さって取れなくなる事に悩まされます。
ヘタの部分はなるべく持たないように注意します。
最近では色んな品種のナスの出荷も増えてきています。緑色や白色のナスも人気です。
栄養
皮に含まれる紫色の成分はポリフェノールの一種で「ナスニン」と言います。動脈硬化、心臓病の予防、目や肝臓の働きを活性化、ガンの予防の効果があると言われています。
しかし、ナスニンは水溶性のため、長く水につけると流出してしまうのが注意点です。
また、ナスには脂肪燃焼ビタミンと言われるビタミンB2などがバランスよく含まれていてダイエットにも良い野菜と言えます。
カリウムも豊富で、高血圧を予防し、利尿作用とカラダの熱を冷ます働きがあると言われています。夏バテ予防にも摂りたい野菜です。
寒い時期はナスはカラダを温める作用があるニンニクやショウガと食べると良いそうです。
その他
ナス科の野菜といえば、トマト、ジャガイモ、トウガラシなどが思いあたりますが、他はアメリカ大陸原産に対し、ナスだけインド原産というのは不思議に感じます。
それはゴンドワナ大陸時代に分化したという説があるのですが、それだとナス科の出現には早すぎるという事で、近年では大陸間の地峡を通って広がり、それぞれの地域で多様化したという説が有力なようです。どちらにせよナス科野菜分布のストーリーは壮大に感じます。
参考文献
小学館の図鑑NEO野菜と果物(小学館)
もっとからだにおいしい野菜の便利帳(高橋書店)
野菜まるごと大図鑑(主婦の友社)
野菜の秘密(ジルデイヴィーズ著 西村書店)
花からわかる野菜の図鑑(亀田龍吉著 文一総合出版)
世界史を大きく動かした植物(稲垣栄洋著 PHP)
野菜の秘密(西村書店)
日本植物生理学会