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サクランボとサクラ

丹波市黒井川のサクラ

名前

一説によるとサクランボの名前の由来は「桜ん坊」(桜の坊)から来ておりいます。

一方、サクラは英語にすると「Cherry Blossom」(サクランボの花)。


日本ではサクラが主で西欧ではサクランボが主なのは面白いです。

サクランボは「桜桃(おうとう)」とも呼ばれ、訓読みで「さくらもも」。訛って「さくらんぼ」となった説もあります。

また、「サクラ」の「さ」は田の神を表す言葉で、「くら」は依代(よりしろ)という意味で、サクラは田の神が下りてくる木という意味だそうです。

生態

被子植物 双子葉植物 バラ科 サクラ属 

染色体数:佐藤錦やソメイヨシノは2n=16

サクランボは白い5枚の花が咲き、開花の2~3か月後に収穫できます。


子房が成長して果実になります。「核果」といって果実の中心部に固い核(内果皮)があります。その核の中に種子があります。食べる部分は外果皮と中果皮です。

一方、サクラはピンク色。5枚の花。
変わった特徴としては葉が出る前に花が咲くものが多いです。それは、そのような品種が選ばれたからのようです。
また、サクラは(サクランボも)「自家不和合性」といって同じ個体からは受粉できない性質を持っています。日本に多く見られるソメイヨシノは「挿し木」と言って栄養繫殖で増やしたクローンなので、みんな同じDNAを持っています。
よって受粉の可能性は非常に低くなっています。
近くに別個体のサクラがいれば受粉して実をつける可能性はありますが、サクラの実は苦くて美味しくないそうです。

歴史 

サクランボの原産地はカスピ海あたりの西南アジアと言われています。
ヨーロッパでは紀元前から食べられており、中国でも漢の時代から記述があります。
日本には明治時代にフランスやアメリカから持ち込まれました。

サクラは日本では古くから自生しており、稲作をはじめる季節を知らせる目印にもなっていたそうです。
有名な「吉野桜」は700年ごろ修験道との関係で桜の木が植え続けられたそうです。
1600年ごろには豊臣秀吉によって1万本の桜の木が寄贈されて大規模な花見も開催されました。
そして、現在よく見られるのは「ソメイヨシノ」は江戸時代中期1750年ごろに誕生した新しい品種です。
当時は「吉野桜」という名称で売り出されていましたが、吉野山の吉野桜とは別物です。
そのソメイヨシノは明治時代になると次々に植えられていきました。
手入れが簡単で育てやすく、なにしろ葉が出る前に花が咲くという特徴を持っていて美しかったからだそうです。

流通

サクランボは主要な果物のなかで一番高価で人気がありますが、流通量は少ないです。
流通される品種としては「佐藤錦」が圧倒的に多いです。

流通量が少ない理由としては、

・開花時に霜にあたるとめしべが壊死して受粉できなくなる。
・果実に雨が当たると皮が割れてしまう。

などの生産の難しさや、

・傷みやすい
・日持ちがしない
・低温に当たると果肉が固くなって美味しくなる

などの流通の難しさも挙げられます。

本当に美味しいサクランボは産地近辺でしか食べられないのかもしれません。

※山内青果店でもこの流通の難しさがあって今の所取り扱っていません。

(旬)

5~7月。輸入品も含めて食べられる時期はすごく短いです。

(産地)
山形(70%を占める)北海道、青森、山梨アメリカ産のものも出回ります。

海外ではトルコ、米国が生産量が多いです。

栄養

果肉の赤や紫色はアントシアニンの色
タミンC、リンゴ酸、クエン酸、ブドウ糖、果糖が含まれています。

参考文献

・小学館の図鑑NEO野菜と果物(小学館)
・花からわかる野菜の図鑑(文一総合出版)
・もっとからだにおいしい野菜の便利帳(高橋書店)
・世界史を大きく動かした植物(PHP)
・吉野町HP(https://www.town.yoshino.nara.jp/kanko-event/sakura/yoshinoyama/)