スウェーデン出身の医師、公衆衛生学者である「ハンス・ロスリング」氏の著書。
世界を正しく見るためにとても大切な事が書かれている。
1分断本能 2ネガティブ本能 3直線本能 4恐怖本能 5過大視本能 6パターン化本能 7宿命本能 8単純化本能 9犯人探し本能 10焦り本能
多くの人は10の本能によって世界を間違った見方でとらえてしまっている。
著者はあらゆる人に貧困、人口、ジェンダー、環境に関わる13問の質問をしたが、平均の正解数はたったの2問。
それは高学歴で国際問題に興味がある人も含めて。
世界はどんどん悪くなっていると思っていると勘違いをしている人が多い。
世界は確実に良くなっている。
それは有能なリーダーではなく社会を築いてくれた数多くの人々のおかげ。
もちろん、世界にはまだ色々な問題があふれている。世界を正しく見て行動しないといけない。
多くの人が幸せに生きやすいように世界を改善していってくれた先人たちに感謝するとともに、自分も微力ながら後世のために何かをしたいと思える本だった。
自分は農業(特に有機農業)に携わっているので「恐怖本能」による「化学物質過敏症」については身近な問題。
「 農薬のDDTで亡くなった人はいないのに危険とされて禁止した結果マラリアで亡くなる人が増えた。」
「福島の原発放射線で亡くなった人はいないのに避難で体調を悪化した高齢者が亡くなった(チェルノブイリ原発事故でも被曝によって死亡率が高まったという証拠はみつからなかった。)」
現代進行形の問題に焦点をあてると「グリホサート系農薬(ラウンドアップ等)」 の反対運動が該当すると思う。
もし禁止されたら困るのは現場の農家。熱中症で亡くなる高齢者も増えるのではないかと思う。
この本にも書かれている通り、自分が置かれている立場の逆の 意見を取り入れる事は正しい事を知るためにとても大事。
自分は有機農業を否定する意見や、農薬化学肥料の安全性を主張する意見や、 ゲノム編集技術の可能性について積極的に耳を傾ける事にしている。
本能に支配されて間違った反対運動をしている人は純粋でいい人が多い。そんな人たちにも読んで欲しい本でもある。