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人類と気候の10万年史(中川毅)

オーディオブックで。トンガ山噴火による影響の可能性が気になって聴き返しました。

「第7章激動の気候史を生き抜いた人類」を中心に聴き返しました。

今回の噴火は農業関係者なら1991年のピナツボ火山の噴火による影響とされる1993年の冷害を連想させる人は多かったと思います。


この本でもやはり火山の噴火による気候変動の可能性を指摘しています。

冷夏が5年も続いた天明や天保の飢饉もアイスランドのラキ火山と浅間山の噴火が原因という説が有力だと書いてあります。


そうだとしたら今回の噴火の影響も予想がつかないと想像できます。現在の科学な予想ができると期待したいですが、、、

また、この本ではミランコビッチサイクルから地球はそろそろ寒冷化の時代に突入し、現代の安定で暖かい時代が終わる可能性も指摘しています。氷期は寒いだけでなく、気候変動が激しいので農耕に向いていない環境のようです。

しかし、IPCCが予測するように地球温暖化による気候変動の可能性も高いです。

どちらにせよ、気候変動でも生き残れる農業技術は重要だと思いました。

そして、この本に書いてある通り、気候変動にも対応できる「柔軟な知恵」と「オリジナリティ」、そして「多様性」はとても大事だと思いました。

※読書メモ
1993年冷夏、米の生産7割まで落ちた
1994年は猛暑、イネの生育順調でコメ不足の問題収束
2年前ピナツボ火山噴火が原因というのが定説となっている。
200~300年に1度の大噴火と言われた
当時は予測できなかった。

ときおりやってくる異常気象とは無縁にはいられない。
主用となる食物の収穫は秋が多い。
食糧備蓄のシステムが構築されていった。
備蓄にはコストがかかるので備蓄の規模が問題となる。

現在の日本の備蓄米は100万トン。10年に1度の著しい不作(作況指数92)が2年連続つづいても対応できる。
しかし、1993年の作況指数は74。想定をはるかに超えていた。
同じような事が1994年にも起きていたら、、、

歴史に残る大飢饉は数年にわたる天候不順が容赦なくつづく
1980年代アフリカの干ばつ4年づづいた300万人の命を奪った
天明や天保の飢饉は冷夏が5年続いた。90万人の犠牲者。
アイスランドのラキ火山と浅間山の噴火が原因という説が有力
ヨーロッパでも冷害。フランス革命につながる。

人類は火山の噴火を予知できる技術を持ち合わせていない。
また、予知できたとしても5年もつづく異常気象に有効な対策があるか疑わしい。
現在社会はおもっているよりも脆弱な基盤の上になりたっている。

マヤ文明9世紀頃から衰退。乾燥化していた。9年に6回の干ばつ。
安定が42年間つづくが、また3年の干ばつ。47年間やや回復。
6年に3回の干ばつでマヤ文明は崩壊。

氷期から農耕ははじまっていたがポピュラーな技術ではなかった。当時の生存戦略は狩猟採集
氷期の終わりとともに農耕は広がった。
氷期でも熱帯地域なら農耕はできたはずだが行われなかった。D-Oイベント(急激な気候変動)が何度も繰り返していたから。
農地は生産性が高いが、多様性が低いので気候変動に弱い
狩猟採集を行う自然は多様性が高いので気候変動に強い。
なので、氷期が終わり気候の変動が少ない安定な時代に突入したから農耕が広がった

最も恐ろしいのは現代の安定で暖かい時代はいつかは終わるというシナリオ
地球は本来なら氷期に突入しているが、人間の温室効果ガスによって温暖が保たれていると言う研究者もいる。
人間が激変の引き金を引く可能性。刺激と応答の関係は解析不可能。
現在の気候は変動制が増している。
農業を基盤にしている社会が深刻な見直しが必要。

狩猟採集にもどれば生きのびられるか?農耕と同じ人数を狩猟採集で生き残るのは不可能1000人か1万人に一人しか生き残れない。

では、どうすればいいのかという問いにはだれも答えられない

人類の適応性、100億という人が生み出す知恵に期待

必要なのは
個人のレベルでは想定を超えて応用のきく柔軟な知恵とオリジナリティであり、
社会のレベルでは思いがけない才能をいつでも活躍する事のできる多様性と効用力
100億という数は人間の大脳を構成する神経細胞の数に匹敵する。

それだけの数が相互作用したときに生み出す事ができる知恵の数も無限であるはず。