「面白くて眠れなくなる植物学」と同じ稲垣栄洋氏の著書。
この著書は14の植物に焦点を当て、それぞれの植物が世界にどのような影響を与えたか書かれています。
コムギ、イネ、コショウ、ジャガイモ、トマト、ワタ、チャ、サトウキビ、ダイズ、タマネギ、チューリップ、トウモロコシ、サクラの14種類。どれも個性的な植物たちです。
1番目、2番目に書かれていたのは「コムギ」と「イネ」。やはり人類の発展はこの2植物の存在が大きいです。
著書では農耕のはじまりは「非脱粒性」という生物としては欠陥的な性質の種子を増やしていった。と書かれています。農耕の歴史はいかにヒトにとって都合のよい性質を持つ植物に品種改良をしていったと想像できます。
また「農業は貧しい地域で止むにやまれず始まった。」とも書かれています。
そこから富が生まれて貧富の差が生まれて、、、
農業によって人類が発展した反面、様々な問題も生み出したのは面白いです。
コムギとイネとの比較すると圧倒的にイネの方が生産性が良いのにかかわらず、日本のように稲作を重要視している国は少ないそうです。それに対する要因もなるほどと思いました。
他に個人的に興味をそそられたのは「ダイズ」です。
古くから農耕が始まった文明は土地が痩せて滅びていく運命にあるのに中国文明は残った。
それは「ダイズ」と「イネ」の有能さゆえと知ると、これらの植物のありがたみを感じます。
そんなダイズですが、今ではアメリカ、ブラジルを主としたアメリカ大陸で85%以上栽培されているのには皮肉に感じます。
そして、世界で一番栽培されている「トウモロコシ」
「宇宙からやってきたと言われる植物」と表現されると好奇心がそそられます。
トウモロコシは人間の助けなしでは育つ事のできない構造を持っているそうです。
それに対して
「もしかしたらトウモロコシの方が人間を利用しているのかもしれない。」
と書かれています。
このような視点は個人的に好きです。
その他にも、富を得る道具になった植物、有益なのになかなか受け入れられなかった植物。などなど、普段よく目にする植物も色んな歴史があって面白く読むことができました。