注目キーワード

面白くて眠れなくなる植物学(稲垣栄洋)

オーディオブックで聴きました。

人間は花が好きですがそれはまったくの片想いです。 美しい花びらや甘い香りも虫たちにやってきてもらうためのものです。

と書いてありました。

それを聴いて自分が小学生の頃

「こんなにキレイに咲いてくれている花に感謝しましょう。」

と言う小学校の先生に対して、

「花は虫のために咲いてるのだから人間に感謝されてもうれしくないよ。」

と言ったら。

「あなたはつまらない人ですね。」

と呆れられたのを思い出しました(笑)

個人的な昔話は置いておいて、この本は色んな目線で植物を語ってくれていて面白いです。

数学的な法則に則った生態、地球の物理法則を利用した構造、自然界との共生も本当によくできていると感心させられます。

双子葉植物の方が単子葉植物はより進化していると思ってたら違うかったり、進化している植物が生き残るとは限らなかったりと植物の世界は本当に面白い。

また、ヒトによって栽培される作物と野生の植物との生き方が真逆と言っていいほど違うように感じました。

脱粒性、均一性、毒。古来よりヒトによって都合がいいように品種改良していって今の作物達があるんだなと再認識させられました。

最終章では地球が放射能に汚染されて多くの生物が滅亡の危機、放射能をエサにするバケモノのような生物が登場する。というSF映画にありそうな設定を、約27億年前植物プランクトンが大量発生させた「酸素」という毒性物質で当時の微生物の多くが死滅して、酸素を利用した生物が進化した現実の地球の歴史と照らし合わせているのも面白い。

そして、

もし宇宙人が地球を観測しているとしたら人類の事をどう思うでしょうか?自分たちが生きられないような古代の地球環境をとりもどそうとする健気な存在と思うのでしょうか?それとも自分たちが生まれた緑の惑星を破壊する愚か者だと思うでしょうか?

と皮肉めいた文章で終わらすのはいいなと思いました。