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我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの(藤崎慎吾)

帰りの電車で読む本を駅ナカの本屋で探していると遭遇した本です。

現代の技術でどこまで生物が創れるのか?将来創れる可能性があるのか?という疑問の答えがありました。

生命を創る事にトライする事によりさらに生命を知る事ができるようです。

一般的に言われている生命の定義は「外界と膜で仕切られている」「代謝をする」「自分の複製を作る」の三つの条件を満たすものです。

・生命の起源は? 海底の熱水噴出孔か?陸上の温泉地帯か?宇宙からきた?隕石の衝突で?

・生命は何からはじまったか?RNA生物が起源?タンパク質?容れ物(脂質) ?粘土や鉱物の表面で代謝がはじまった?

まだまだ生命はわからない事ばかりだという印象です。

人の生死の定義についても書かれていましたが、これも曖昧で面白いと思いました。

・ヒトが「人」と認められるのは?陣痛が始まったときか?自分の肺で呼吸し始めたときか?胎児の体が母体から出たときか?母体外で自ら生命を保持できるようになったときか?地域によっては名前をつけられた時点で生命とされる所もあり、それまでは殺す事も許されているという。

・死亡も明確な定義はない。 ドナーカードを見る限りは脳死と心臓死のどちらかを選べるようだ。家族が認めたらという考え方もできる。 脳死は新しい概念 。人の死の概念は時代とともにかわる。 個体の死と細胞の死も違う。60%死んでいる、30%死んでいるという定義の仕方ならできなくもない。

そして、なんと!クックパッドで「人工細胞」のレシピが公開された事があったそうです。(すぐに非公開に)
「車兪澈」さんによるレシピです。そのレシピを作者がアレンジした方法で試してみるとベシクル「境界」は割と簡単にできました。車さんはその中に「代謝」システムもいれる事にも成功していて「自己複製」もできるようになる日も近いそうです。

・DNAのリンの代わりにヒ素の利用、タンパク質、核酸、脂質に使われる炭素の代わりにケイ素なんかは理論的にありえる。また、生命に使われているのは20種(21種)のアミノ酸だが現代は500種のアミノ酸が発見されている。それを利用できる生命もありえる。エネルギー通貨もATPでなくてもいい、アデニンの代わりにシトシンやグアニンがくっついているエネルギー通貨もある(総称してNTP) 。

ここまで来ると何ができるのか怖くなってきます。

誰かが「危ないなこれ」というものができたらそれが生命だと考える

というのには「なるほど」と思いました。

そして、個人的には

神を否定できるようになり、科学も万能でないことが分かった今、「生命」が残されたスーパーコンセプト(絶対的にたよりたいもの)

という言葉が気に入っています。