「第四章 ブラック系?農業法人の章⑭最終話」~こうして就農するのをやめました~
のその後の話です。
僕は野菜売りの仕事をしながら某農業法人でのアルバイトは続けていました。
そこで見たものは?
あれから月日が経ち、某農業法人で働くアルバイトも増えてきました。
農地の面積もタマネギの皮むきの仕事も増えてきました。
そんな中、
「すごい人が入ってきました!」
農場長に新しく入ったアルバイトを紹介されました。
そこにいたのは大柄で筋肉質で無精ひげを生やした強面の50歳くらいの男性。
自然農で営農した後、大規模ネギ農家に勤めてケンカして辞めて、この有機農業法人に来たと言います。
「自然農もやった。農薬を使った慣行農業もやった。それでは有機農業はどんなものなんだろう?知りたくて来た。」
と言っていました。
その日はそのおじさんと二人で仕事をしました。
畑に向かう途中、
「人間が自然の中で生きるのに大切なものが3つある。何かわかるか?」
強面のおじさんは突然質問してきました。
「太陽、水、土ですね。」
ありきたりな答えで返しました。
「そうや!ワシはその全てに関わる仕事をしてきた!」
どうやら農業の前は太陽光発電の仕事や治水の仕事もしてきたそうです。
すごく経験豊富だなと思いました。
畑に到着しました。その日の仕事は鹿柵の設置でした。
強面のおじさんは仕事をしながら
「こんな動物と敵対するようなやり方はあかん!」
解説してくれます。
「動物用の畑を作るんや。『ここの畑は動物さん自由に食べてください』と看板を立てて、そうしたら他の畑は被害を受けなくなるんや!」
色んな世界があるもんだなと半信半疑で話を聞きながら一緒に仕事をしました。