
農場長は、ここの農場だけでなく、車で2時間ほど離れたもう一つの農場の農場長もしていた。
とても大変そうである。
従業員がいっきに辞めてしまって手不足だそうだが、農場長は
「出世するチャンスなんです」
と前向き。
僕もその農場で助っ人として働く事もあった。
この農場は丹波の農場と比べると面積が10倍くらい。大きな機械もある。
ここでもビニルハウスでは葉物野菜、露地では人参を収穫していた。
そこの従業員たちと一緒に情報交換しながら仕事をした。
「そっちはどんな感じ?」
とさぐりを入れる感じで話しかけられる。
「毎日、農場長と従業員がケンカしてます。」
「やっぱり!ここでもうまくいってないので、そっちでもうまくいくはずない!」
その帰り道、農場長に「正社員になりませんか?」と誘われた。
この会社は人手不足なので、一つの農場は僕に任せたいそうだ。
賃金はとても安い。悩んだ。
「給料は安いけど、元々お金で選んだ道でもない。」
「休みもほとんどないけど、初めからその覚悟で農業の道に進んでいる。」
「企業の方が大きなことができて面白そう。」
「別に雇われて就農するのもいいか。」
と考えることもあったが思い留まった。