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「第四章 ブラック系?農業法人の章④」~タマネギ小屋と3人のおじさん~

小屋に近づくと、

『プシュー、プシュー』

空気音が聞こえてくる。

扉を開けると、

強烈な刺激臭が!!

狭い小屋の中には3人のおじさんが作業していた。

2人が特殊な作業台に座り、エアーが出るホースと包丁を握って作業している。

もう1人は水がいっぱい入った桶で何かを洗っている。

なんだこれは?

『タマネギの皮むきをしています。こうすることによって3倍の値段で売れるのです。』

農場長が説明する。

強烈なタマネギのニオイ。

説明を受けていると、1人のおじさんがこちらを睨んでくる。

その目線の先は僕ではなく、隣の農場長。

『あの話、どうなっとるんや!!!』

ケンカごしで話かける。

『今、生菌検査に出して結果待ちです。』

どうやら次亜塩素酸ナトリウムという消毒液を使うかどうかでもめているようだ。

こちらは使いたくない。出荷先は使って欲しいらしい。

『さ、出ましょう。あなたは別の仕事をやって欲しいので。』

おじさんはまだ何か話をしたそうでしたが、小屋を出た。

『さっきのおじさん偉いんですか?』

尋ねてみると、

『ただのアルバイトです。』

しかし、このタマネギの皮むきの機械は農場長とおじさん達がタマネギ産地の皮むき工場の現場を視察して見よう見まねで作ったそうだ。

その点はおじさん達すごいなと思った。

「第四章 ブラック系?農業法人の章⑤」~利害の一致~につづく