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「第三章 女性牛飼いの章⑥」~牛と寝る人牛を蹴る人~

ある日の朝、牧場に行くと女性牛飼いさんが牛小屋から出てきた。

「寝てたわ~」

牛小屋に泊まったらしい。

ドロボー対策で泊まっていた?

というわけではなく、子牛にミルクをあげていて、そのまま一緒に寝ていたらしい。

牛も人間と同じように育児放棄する親がいる。

その場合は人の手でミルクをあげるそうだ。

愛情込めて育てているようである。

外を見ると、女性の牛飼いさんのお兄さんはワラ置き場から出てくるのが見えた。

「ここが寝心地がいいんや」

と言ってワラのベッドを自慢する。

ほとんど家に帰らず、牧場で寝ているようだ。

すごい世界だ。

ある日、女性牛飼いさんの付き合いで子牛のセリの会場に行った。

ひな壇になっている席に買い手である肥育農家が座っている。

そこに子牛と飼い主が出てきて、血統や体重、そして見た目で値段をつけていく。

それぞれの席にはボタンがあり、それで値段を上げていくようだ。

「ビビー!100万円!!」

競り落とされたらコールされる。

愛情込めて育てた牛が買われていく。

飼い主にとっては複雑な心境のようだ。

しかし、中には嫌がる子牛に無理やりワラを食べさせて水を飲ませている飼い主もいた。

体重を少しでも重くして有利にするためだそうだ。

愛情なんて全く無い牛飼いもいるようだ。

「第三章 女性牛飼いの章⑦」~親が死んでも休めない~につづく