第三章は女性牛飼いさんでの話番外編です。
女性牛飼いさんの牧場には3匹、家の方には1匹犬がいます。
家にいる犬は見た目はちっちゃくてかわいいですが、来客がくると 狂ったように吠えて噛みつくので檻にいれられています。
そこにぬいぐるみを投入すると即座にバラバラに食いちぎる狂犬です。
そして、2匹ペアの犬がいます。愛想の悪い犬たちです 。
この犬たちの近くに牛が通ると跳ね上がって噛みつこうとします。
鎖でつながれているので 寸前のところで止まり牙は届きませんがハラハラします。
実は猟犬だそうで、本能でカラダが動くようです。
そして残りの1匹はモフモフで人懐っこいかわいいワンコがいます。
僕もこいつとだけは仲良くできますのでいっぱい撫でてやります。
「噛みませんよね?」
噛むわけないと思いながら冗談のつもりで女性牛飼いさんに尋ねます。
「噛まへん、噛まへん。」
という言葉を期待しますが何故か黙りこくりました。
ある日、仕事に行くと、女性牛飼いさんのお兄さんが足を引きづっています。
「こいつに噛まれたんや」
モフモフのカワイイワンコを指さします。
信じられません。
過去には女性牛飼いさんも噛まれた事があると言います。
実はこのモフモフのかわいいワンコも猟犬だったようです。
牛を動かすと牛に噛みつこうとするので守って噛まれるそうです。
本能ってコワいと思いました。
そしてまたある日、別の仕事でこの牧場の近くを通った時、 女性牛飼いさんとお兄さんが河川敷をうろうろしています。
「どうしたのですか?」
尋ねると
「犬が逃げたんや」
モフモフのかわいいワンコが逃亡したそうです。
そのうち戻ってくるだろうと思ってその時はそのまま別の仕事に行ったのですが、後で聞いたら大変な事になっていました。
モフモフのかわいいワンコは元気に帰ってきたのですが、 逃亡中によその犬とケンカして相手を半殺しにしてしましました。
幸いにも相手の犬一命をとりとめましたが、その治療費に数十万円。 女性牛飼いさんは払っていました。
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