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「第三章 女性牛飼いの章②」~うんこの仕事~

「これを運んで欲しい」

指を刺した方向には立派な堆肥場。

しかし、そこにあるのは牛のうんこの山。

うんこを微生物によって発酵分解されたものを「堆肥」と言って農業に利用されるのですが、そこにあるのは堆肥化されていないホカホカのうんこ。

そのうんこを軽トラのダンプで定年後農家さんの田んぼに山積みに置いていく仕事を頼まれた。

山積みのうんこが冬の間に発酵して堆肥になるという理屈のようだ。

「ボブキャット」と呼ばれる重機でうんこをすくい、軽トラのダンプの荷台にうんこを山盛りに積む。

ただし、僕は都会暮らしを長くしていたため、車の運転経験もほとんどないペーパードライバー。

さらに、ミッションでの運転やダンプの操作となると、過積載ギリギリの山盛りうんこの運搬は非常に手間取る。

田んぼの中には乾きが悪いところもある。油断するとタイヤが田んぼに沈み込んで身動きが取れなくなることも。

そんな時はダンプを上げ下げしたり、スコップで掘ったり、板を探したり、ワラを集めてタイヤに敷いたり、さまざまな方法で脱出を試みる。

その過程でうんこまみれになっていく。

それでも脱出できない時は、女性の牛飼いさんがトラクターで救出に来てくれて、ワイヤーで引っ張ってもらって脱出した。

お昼休憩は女性の牛飼いさんの家で食事をいただく。

うんこまみれで家に入っても彼女は全く気にしない。

「第三章 女性牛飼いの章③」~20匹の猫たち~につづく