3流格闘家だった「パンチィー山内」が引退後、就農を目指すも数々の失敗を繰り返してきた話を書きます。
第0章は「格闘技を引退して農業をしよう。」と心に決めた時、まさかのチャンス、優勝賞金300万円のトーナメント出場の話がやってきました。しかし、1回戦から優勝候補の相手。勝機はあるのか?
それにしても自分のような三流選手にこんなチャンスがめぐってくるなんて。
今まで名前を売ろうと必死で、変なスパッツをはいて試合をしたり、女装なんかして入場したり、色んな工夫をしてきた。
「おかげで変人扱いされてきたけど、そのかいがあったんだな。」
と思いにふけていたら、主催者から連絡が、
「あのスパッツと女装の入場はやめてくれ」
後輩にスパッツを借りて試合をする事になった。
、、、
そうして試合の日がやってきた。
前日の計量は500gオーバー。
計量会場にサウナ室があったので帯同してくれていたセコンドにも付き合ってもらってサウナの中でシットアップしたりダッシュしたりして汗を出して何とか計量は突破した。
半日かけてゆっくり水分、塩分をとり、消化によいものからカラダに入れて体重を戻していく。
翌朝、試合当日。カラダは軽い。力も入る。調子はいい。
会場に到着する。収容人数2000人くらいの会場。
もしこの試合に勝ったら次の会場は両国国技館。「そんな舞台で試合をしてみたいなぁ。」と思ったりもする。
アップをしてリングチェックをして体を冷やさないようにちょこちょこ動きながら控室で試合順を待つ。
師匠は別件でカラダが空いてなかったのでセコンドはアニメの趣味の合う二人についてもらっていた。
試合前なのにアニメの話で盛り上がる。
宇宙を舞台に「モビルスーツ」という兵器を使って戦争をする、人間ドラマにも溢れたアニメの話。
それくらいの方がリラックスできて丁度いい。
自分の試合順になる。入場曲がかかる。
もしかしたら最後になるかもしれない試合。
入場曲は今まで自分の入場曲で一番よく使った思い入れの強い曲。「汎用人型決戦兵器」で「使途」と闘うアニメの主題歌を選んだはずだった。
主催者に送ったはずだった。
しかし、その音源は手違いがあって届いておらず、歌手も曲名も分からない曲で入場して決戦のリングに向かう。
第0章 優勝賞金300万円で就農する夢を見た④」~厳しい現実~につづく
