
火災の原因は定年後農家さんの所で働いていたブラジル人でした。
定年後農家さんの紹介で近くの工場でも働いていたのです。
仕事中の不注意で火事になってしまったそうです。幸い大惨事は免れましたが、責任を感じてかバツが悪くなったからか、そのブラジル人は仕事に来なくなりました。
ここで、この農場のメンバーをおさらいすると、代表のおじさんの他に70代のおじさん、70代のおばちゃん2人、90代の老夫婦がいます。
40代のブラジル人がいなくなったので、若い戦力が足りません。なので、僕がまた呼ばれました。
もちろんタダ働きでしたが、今回の条件は魅力的です。
田んぼを二枚、合計2反(2000㎡)貸してくれました。機械も使っていいと言われます。ブラジル人がいなくなったので空いた穴を埋めて昇格した感じです。
やはり僕には給料はありませんでしたが。
そしてある日、農場のメンバーみんなでおじさんの家で食事会をしました。
そこには剣道で入賞した賞状が飾られています。
それを見て、「すごいですね!」と精一杯のお世辞を言ったつもりが、
「これは死んだ息子のものなんや」と言われました。若くしてバイク事故で亡くなったそうです。
その後、「お前は息子みたいなものや」と言われました。
そう言ってもらえるのはうれしいのですが、僕の両親は健在なのでちょっと困りました。
そして、なるほど、息子みたいなものだから給料がないのだと納得しました。