300万円くらいの借金で諦めることはなく、また農業を勉強させてくれる農家さんを探しました。
アテとしている農家さんが一人だけいました。前章で出てきた悪い有機農家の農場に出入りしていた農家がいたのです。
彼は洗脳されていると思われている弟子の女性を助けたくて頻繁に出入りしていたようです。
僕もその農家さんと何度か話をしたことがあったので、
「農業の勉強をしたいので、タダでもいいから働かせて欲しい」
と相談して、働かせてもらうことになりました。
約束通り給料はもらいませんでした。
借金の返済もしないといけないので、お金は工場で夜勤の仕事で稼ぎ、夜勤明けはちょっとだけ寝て、昼から農業の仕事をし、その後また工場の夜勤というサイクルの生活で農業の仕事をすることができました。
そうして働いていると、ここの農場がどんなものなのかが分かってきました。
ここの農家さんは、企業を定年退職してから親の農場を継ぎ、退職金で設備を拡大させたようです。
お米をメインで扱っており、アイガモ農法なども採用していました。
働いている人も何人かいて、90代の老夫婦、70代のおじいさん、70代のおばちゃん2人、そして40代のブラジル人が働いていました。
みんな文句を言いながらも仲良く働いていましたが、驚くことに、みんなタダ働きしているのです。
自分は勉強して納得してタダ働きしていましたが、他のみんなはなぜなのか?
「借金をカタに働かされているのか!?」、「何か弱みを握られているのか!?」、「そもそも農業はこういうものなのか!?」。
色々な憶測が脳内を巡りました。