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科学者たちが語る食欲 食べすぎてしまう人類に贈る食事の話(デイビッド・ローベンハイマー、スティーヴン・J・シンプソン)

「栄養は生物学である」
生物はタンパク質欲を満たすために食べるという「肥満:タンパク質レバレッジ仮説」について書かれています。
その仮説を提唱したのは著者である二人の昆虫学者。

バッタの実験からはじまり、コオロギ、粘菌、ラット、ゴキブリ、ゴミムシ、クモ、イヌ、ネコ、ショウジョウバエ、オランウータン、ヒト
様々な生物での実験や観察について書かれていて面白いです。

動物は直感的に栄養バランスの取れた食事を摂っているようです。

動物が持っている食欲は5つ・タンパク質・炭水化物・脂肪・ナトリウム(塩)・カルシウム
他の栄養素は5つを適量摂取していれば自然に得る事ができるそうです。

しかし、食餌がアンバランスになってしまうときはタンパク質欲が優先されるそうです。
タンパク質欲しさに共食いをはじめるコオロギの話は凄惨です。
ヒトにおいてはタンパク質欲しさに過剰なカロリーを摂取してしまい肥満になってしまうようです。

個人的にはそれは以外に思いました。炭水化物を優先するイメージがあったからです。
そういえば、自分は昔、格闘技(MMA)をしていたのですが、減量中むしょうにポテトチップスを食べたくなりました。
ポテトチップスの旨みは食品がタンパク質を含んでいることを知らせるシグナルなのです。(実際にはほとんど入っていない)
減量後に肉を食べる選手が多いのもこのタンパク質欲からきているのかもしれないと思いました。

また、ショウジョウバエ、マウスの実験によると、低タンパク/高炭水化物で長寿、高タンパク/低炭水化物で早死だが繁殖に有利な個体になったと書かれています。
ヒトにおいても高タンパク質食を好む人はエネルギッシュだが短命なイメージがするのでしっくりきました。

「食物繊維」の大切さも書かれています。
食物繊維は食べるペースを遅らせ、早く胃にたまり、栄養素が血流に吸収され脳にその存在を知らせるまでの時間を稼いでくれると書かれています。
食物繊維はダイエットの味方なのです。

しかし、「超加工食品」という工業的な製法の加工食品によって食物繊維やタンパク質は取り除かれ、その結果太りすぎてしまうと書かれています。
食物繊維が少ない商品はおいしい。また、タンパク質をケチれば製造原価が低くなるそうです。

著書に「正しい知識で食べるのが大事」と書いている通り、正しい知識で食品をしっかり選んで食べたいと思いました。