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ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ(湯澤規子)

「ウンコはどこから来て、どこへ行くのか」を読みました。

ウンコには「便」「糞」「下」「屎」と色んな表記がある。その中で「糞」は一節によると「畑に両手にまく」という意味がある。それは肥料として食べ物を土に還す行為。

江戸時代、人糞肥料は西洋からは嫌悪されていた。西洋では家畜糞を使うので(宗教上の違いも?)、しかし日本の農業技術は高く評価されていた。

化学肥料の導入でウンコの利用は減少し、近世以降の循環システムは衰退した。その結果、土壌は有機質不足になり土質が悪変した。

肥料としての糞尿が完全に崩壊したのは高度経済成長期。ウンコは売買する「商品」でなくお金を出して処理してもらう「廃棄物」へ変化してしまった。

以前の東京オリンピックの時は「日本の野菜はウンコを使うので非衛生的だ」とヨーロッパから偏見があり、ウンコを使わない農薬化学肥料で育った野菜を「清浄野菜」と呼ばれ推進された。

今回の東京オリンピックでは逆に「日本の野菜は農薬まみれ」とヨーロッパに言われて有機野菜を推進しているからおもしろいと思いました。

やはり、ウンコは食べ物と同じくらい大事だと思いました。

人間のウンコを豚が食べて、豚のウンコで作物を育て、その豚も人間が食べる。戦前の沖縄で行っていたとても効率のいい循環だと思いました。